seikousisanの日記

食べたり音楽(ロキノン・ももクロ他アイドル)だったり都内近辺の行く場所が多いと思います

るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編を見て感じたこと

るろうに剣心の映画、京都大火編を先月公開翌日、伝説の最期編を今日見てきた。
るろ剣の連載期間やアニメ放送時期が小学生時代にどんぴしゃだった。
原作は穴が空く程読んだし、牙突とか二重の極みは真似をしたことがない男子のが少ないくらいの世代だ。
そんな世代だからこそ、あれから15年程経った今でもるろ剣に対する思いはそこそこに熱い僕ではあるが、だからこそ映画を見終わって感じたことを書いて置こうと思う。

◼︎原作をどのタイミングで切り離せるか
マンガ原作ものの映画にありがちなのが、原作が好き過ぎて実写映画に感情を移入できないまま終わること。
今作も蒼紫はただの狂人だし、操はこちらの方が正しいのかもしれないが京言葉を喋るし、破軍乙の不二は人間サイズだしとツッコミを入れ始めたらきりが無い。

巻数にして10巻以上の京都編を映画二本約5時間にまとめるのは中々に難しいし、そもそも明治剣客浪漫談といいつつ人外の身体能力・技がウリのジャンプ作品なのだからそれを実写で再現し切れるわけがない。

よってこの映画はいかに原作と切り離して見ることが出来るか、が映画を楽しむ鍵になってくると思う。

原作とは別!と早い段階で割り切ることが出来るとこの映画は面白いポイントがとても多い良作だったと思う。

◼︎殺陣、そしてそれを支えるカメラワーク
この作品の1番の見所はやはりスピード感と緊迫感が凄い殺陣のシーンだろう。
佐藤健をはじめ、藤原竜也神木隆之介らの訓練も凄まじい努力があったのだろう。
またアクション監督の谷垣健治による、従来の歴史物の殺陣ではなく、香港アクション映画の流れを汲むスピーディーな新感覚の殺陣。
そして石坂拓郎撮影監督によるアクション殺陣を支えるカメラワーク。
カメラワークにはレビューをチラ見したらカメラワークのせいで殺陣が台無し、と言った意見も見られたけど、個人的にはありだった。
やはりるろうに剣心という単なる時代劇ではなく、スパイダーマンの様な動きが求められる新感覚アクション時代劇にはこの位のカメラワークであえて現実から離すのは多いにありなんじゃないかなぁと思います。

◼︎所々にチラつく原作要素
原作とは早目に切り離すべし!と最初に言ってるにも関わらず矛盾しとるやないかい!
と思われることだけど、原作と切り離す=原作ママの話、演出を期待するのではないという意味で、キャラは原作のキャラとして僕は楽しんでました。
言わばアナザーストーリー的なこういう京都編もあったんだという感じで。

その目線で見てるとちょこちょこ原作要素が出てくるとより嬉しくなるんですよね。
原作再現の期待をしていないからこそ、あぁ!いま!でた!って。

◼︎技名は叫ばない、だからこその奥義にシビれる
原作じゃやはりジャンプ作品。闘ってる最中に技名叫びまくります。
アニメでもりゅーついーせーん!とかしょっちゅう言ってた気がします。
るろ剣の大きな魅力のひとつに技名があると思うんですよね。
剣心の飛天御剣流の技以外にも志々雄の「終の秘剣 火産霊神」とか、雪代縁の「倭刀術絶技 虎伏絶刀勢」とか。
大場つぐみ小畑健バクマン。でもジャンプ少年マンガの人気要素のひとつに刀や、カッコいい必殺技とかあった気がするけどそれを満たしまくってるのがるろ剣
厨二心をくすぐるカッコいい漢字を使ったらカッコいい技のオンパレード。

実際そんな技名を闘いの最中にさけばんやろ、と実写ではツッコミがはいるのを想定してか映画中では一切技名を叫びません。
技に関する解説とかもありません。
そんな技に関しての音声的情報を一切断ってきたからこそにシビれるクライマックスでの「飛天御剣流奥義 天翔龍閃」。
もったいぶらせてもったいぶらせて、もったいぶらせた結果、「あぁ、技とかは自分の中で補填するのね」と観客に思わせ(僕が勝手に思ってただけかもしれない)、高い位置から放った上段の攻撃は「龍槌閃だ!」との錯覚を覚えさせ(僕だけかもしれない)、目を見張る連撃の所は「あれは龍巻閃旋・凩・嵐!」と妄想させ(僕だけかも(ry)続けてきた中、放った「飛天御剣流奥義 天翔龍閃」。
いやー焦らしによる興奮ってここまでか!ってくらいに興奮しました。

◼︎技名は叫ばないが随所に再現される要素
これも原作からは切り離しつつと見える原作要素なのだが、監督の、そして演者の原作への愛が感じられる場面。
2度目の宗次郎と剣心の闘いのシーンでの右手を少し下げた構えになる宗次郎には「瞬天殺」を見出すことができた。
解説は一切なかったが、志士雄とのラストで「飛天御剣流奥義 天翔龍閃」を繰り出す剣心の踏み出した左足をワンカット抜いた所で剣心の覚悟・信念を表現していたり、原作再現度はこの辺は高い。

だが1番はやはり宗次郎の縮地。
片足でトントンっと跳ねる宗次郎。
というか神木くんが宗次郎にハマりすぎで個人的にアカデミー助演男優賞をあげたい。
インタビューとか読んでいてもたぶん全出演者の中で1番の原作への愛を感じた神木隆之介だからこそ、あそこまでハマった演技が出来たのだろう。
だからこそ仕方ないと言えば仕方ないのだが、宗次郎の志々雄との過去が描かれなかったからこその、宗次郎が剣心に敗れ壊れるシーンは勿体無かった。
壊れた演技も完璧だった故に、原作未読者はポカーンとなってしまっただろう。

あとは本当に残念だった謎のターミネーター蒼紫と謎に殺されてしまった翁、恵さんが謎に剣心へ赤い着物をすすめるシーンとか時間がないからこそ入ってしまった映画オリジナルシーンへの疑問になってしまうのでその辺はカットする。
疑問は諸々残りつつも、映画作品としては話の作り直しも破綻を起こさないいい作りだと思うし、繰り返しになるけどアクション殺陣は本当に凄いし、見所が多くて本当によかったです。
とりあえずもう何十回と読んだ原作をまた読みたくなりました。