全てが完璧なうなぎ屋、江東区森下の「藤田屋」
清澄白河がフィーチャーされたりしてましたが、今日はそのお隣森下のうなぎ屋。
ここもまた女将さんの心が通った接客がたまらない、いい料理屋だった。
最初は一度行ったことのあるオシャレ目な新しい定食屋「ラハン」に行こうと思い森下を歩いていたがまさかの休業日。
完全に出鼻をくじかれ、定食腹になっていた頭を一度リセットし、何かないかと森下を徘徊すると見つけた時代が昭和から止まっている佇まい。
でもお高いんでしょう?と思いきや夜でも定食が食べられそうでそこそこ良心的な価格設定。
腹もペコちゃんだったのでいざ入店。
すると平均年齢70歳くらいの客層でキャパ10数席の店内はほぼ満席だった。
隅っこの席に座ろうとすると女将さん(推定70歳以上)がせっかく飾ってあった花瓶を片付けたりしてスペースを広く作ってくれた。
メニューも気取ってないのがよい。
たぶん創業当時からほとんど変わってないのだろう。
オリジナルメニューのイリブタライスにも心引かれつつ、久しぶりのうなぎをチョイス。
うなぎをまっている間は脇に置いてあった雑誌を読む。
「サライ」と「婦人画報」。
この店の客層をズバリ表すようなラインナップに心落ち着く。
そんなこんなでうな丼(1500円)と肝吸(150円)が到着。
大阪出身ではあるがうなぎは東京のふわっとしているタイプが好みな僕にとっては最高の焼き加減、蒸し加減。
肝吸も柚子の皮のアクセントが効いていてほっこり落ち着く。
ボリューム的にも値段を考えると申し分ないのだが、女将さんが声をかけてきた。
「ご飯おかわり欲しかったら言ってね。うなぎはサービスできないけど、ご飯ならおかわりしていいからね。」
なんということでしょう。
丼ものでのご飯おかわりが無料。
それを聞いた瞬間、すこしでも味わおうとちまちま食べていたがスイッチが入った。
すぐさまうなぎ半分を残しご飯を完食、おかわりを申し出る。
おかわりが来るまで少し思案。
「果たしてタレは追加されるのだろうか…」
そう、うな丼はうなぎとご飯で完成するのではない。
タレが重要、必要不可欠なのだ。
うな丼はコンビではなくトリオなのだ。
少し心配しながらものの数分、着丼したものがこれだ。
食べかけのうなぎがやや汚いのはご容赦頂きたいが、綺麗に盛り直されたうな丼はタレもしっかりと追加でかかってある。
もはやうな丼(ハーフ)を注文したのかと見紛うレベルの完成度。
ブラボーである。
この瞬間、孤独のグルメのTheScreenTones『エレキのツンドラ』 - YouTubeが頭の中で流れる。
瞬く間に完食しお会計。
正直期待を大幅に超える大ジャンプをかましていったうなぎだったため、女将さんに多少の懺悔も込めて「たまたまよったんですけど本当に美味しかったです」と言うと、
「全然いいのよ、じゃあたまたまでいいからまた来てね」とニッコリ。
いいうなぎといい女将さんがいる完璧なお店。
ここはたまたま、定期的に訪れたい。