seikousisanの日記

食べたり音楽(ロキノン・ももクロ他アイドル)だったり都内近辺の行く場所が多いと思います

東京国際ブックフェア

東京国際ブックフェアにいってきた。
http://www.bookfair.jp/

2010年が電子書籍元年とか言われて、その翌年の今年はブックフェアのスペースと電子出版エキスポのスペースが半々になっていた。

まずは『逆パノプティコン社会の到来』で先生がお世話になっているディスカバー21の干場社長と少し話した。

前日、たまたま報道ステーションでインタビューを受けているのを目にしていたのでそこからいろいろと話した。
ブックフェアはフランクフルトであるのが1番大規模らしく、そこでは商談の場の色合いがかなり強いらしい。
しかし、日本のは内輪だけでやっている感じで危機感がない、このままじゃアジアの商談もとれなくなるかもしれないと話しておられた。

ちょうど発表されたばかりのパナソニックの端末を触ったり、他の端末もいろいろ触ったりもしたが、今のところ端末による違いとかはよくわからん感じ。
直感的にわからないのだから、たぶん現状のままだと、プラットフォームのことも考えてもiPadの1人勝ちの状態はまだ少し続くのかもしれない。

あとは凸版ブースで聞いた講演は面白いのばっかりでよかった。

***

東京電機大学出版局局長植村八潮氏講演
電子書籍だからといって必ずしもコンテンツをリッチにすることはない。
ケータイ小説はコンテンツから表現をそぎきったからこそ成功したコンテンツ。
表現の仕方をマンガの世界で行われていた、つかみをつくって山場で終わる表現で次を気にさせる。
(そのときケントは・・・みたいに・・・で終わらせると次回も読んでもらえる。)

電子書籍プラットフォームとして、まずはなるべく早く、そこにいけば全ての本があるという状態を作り出す。
市場の底辺を作って行くのは、スキャン画像、PDF系のコンテンツなのだからどんどん既存の書籍を電子化して行くべき。
千坪も売り場面積のある書店員に話を聞くと、1年以上売れない本が1割以上。

・今の若者にとって、京極夏彦のライバルは宮部みゆきではなく、ファイナルファンタジーだったりする。リッチなボーンデジタルのコンテンツをつくるならば、いかにボーンデジタルである必要性を出せるか考えて行くべき。

■電子雑誌ちょいすとについて
・雑誌1冊単位でダウンロードして楽しむのではなく、雑誌の記事単位でダウンロードして楽しむ。

・さらに、自分が気に入った記事を1冊の雑誌としてまとめて読むこともできる。
これで、自分だけの雑誌を便利にいつでもどこでも読むことができるようになる。
電子書籍では、音楽の1曲単位の様な、1章単位の販売は成り立たないと言われていたが、「雑誌」というコンテンツをバラ売りすることでそれを可能にした。

■西田宗千佳氏講演「電子書籍における『プラットフォーム』の役割とはなにか」
電子書籍プラットフォーム=販売店であり、書庫であり、仕入れ。協業をベースに共有するのが現実的。

・販売について
販売機能、決済を行う、書籍陳列、マーケティング、顧客誘導といった販売店としての役割を持つ。
だからこそ、どの端末にどのプラットフォームを使うかを、端末メーカーが決めるのではなく、プラットフォーム側が決める。

・書庫について
購入した書籍を複数の端末で見れる様にする。
購入した書籍をユーザー毎に保存しておく。
つまり、データをもつのではなく、クラウドプラットフォームとして、読む権利をもつイメージ。

・販売と書庫について考えるに、プラットフォームの乱立は問題だが、複数のプラットフォームが共有の販売プラットフォームを使うことで互換性をもたすなど、統合や、使い勝手の維持を行って行くべき。

・仕入れ(電子取次)について
出版社や著者が直接アプリとして販売するよりも、プラットフォームに集めて販売した方が効率的(マーケティングや宣伝の手間が省ける。)
流通用の形になっていないデータを電子書籍販売用の形にするのも仕事。
なぜ電子取次が必要なのかと言うと、アウトソースを行うことで、出版社のスリム化が可能。体力のない中小の出版社には大きなメリット。

・電子取次の現時点での問題
当事者性が欠如しやすいこと。
まだプラットフォーム側も出版社もクオリティの高い電子書籍をつくるノウハウを確立していない。
例えばケータイでの電子書籍は出版社が制作会社に丸投げしていた結果、クオリティの低い(作者の意図が十分に伝わらない)コンテンツに。
これを電子書籍専用端末で見るコンテンツでも行うとさらに悲惨な状態に。

電子書籍は内容だけでは評価されない
普通の書籍=装丁・中身で評価
電子書籍=ビュワーのでき(アプリ+デバイス・ビュワー)・買いやすさ・中身で評価
このうち、中身以外の2点はプラットフォームで決まるもの。

・印刷の歴史
紙の印刷物は明治以降、「分業することでクオリティを上げることができる」といった体制を試行錯誤を重ねて確立した。
電子書籍も同じく、読者に求められる物は何かをつきつめ、クオリティを上げる体制を確立していく段階。

・紙だけでもデジタルだけでもだめ
果たしてリフロー(文字の拡大・縮小)は求められているのか?便利ではあるが、画像が粗くなったり、レイアウトが崩れてしまう。
とりあえずtwitterと連動させる等、ソーシャルリーディングを取り入れるも、それも必要なのか?
紙時代のレイアウトや印刷のノウハウ、そしてデジタルソリューション、デジタルでのものつくりのノウハウ両方をかけあわせてつくっていくべき。

***

ふつうに紙の本が売ってるブックフェアもおもしろかった。
やっぱり本が集まってる環境ってどこかわくわくする。